ゲーテ詩集 生田春月訳






似合ひの夫婦


釣鐘草のひともとが
地から萠え出して
かあいらしい花を咲かせた
はやくから、楽しき野辺に
すると小さな蜂がやつて来て
おいしさうに蜜を吸ふ –
どうです、ふたりは本当に
似合つた夫婦ぢやありませんか





双方の舞踏の歌


    無関心な人逹

美しいお方、さあ御一緒に踊りませう!
こんな祭の日には踊るものです
あなたがわたしの恋人でなければ恋人になれますよ
たとひ恋人にはならなくとも踊りませう
美しいお方、さあ御一緒に踊りませう!
こんな祭の日には何よりも踊りです

    ものやさしい人逹

愛するお方、あなたがなければ祭が何でせう?
やさしいお方、あなたがなければ踊りが何でせう?
あなたがわたしの恋人でなければ踊りたくない
いつまでも恋人でゐて下さればこの世は長い祭です
愛するお方、あなたがなければ祭りが何でせう?
やさしいお方、あなたがなければ踊りが何でせう?

    無関心は人逹

あの人逹には勝手に愛させておいてふたりは踊りませう!
恋に悩んでをつてはとても踊りはしませんよ
ふたりは愉快に組んづほぐれつ踊りませう
あの人逹が暗い森にかくれてしまはうと
あの人逹には勝手に愛させておいてふたりは踊りませう!
恋に悩んでをつてはとても踊れはしませんよ

    ものやさしい人逹

あの人逹には勝手に踊らせておいてふたりは歩きませう!
恋人同士の散歩は天上の踊りです
愛の神(アモオル)はあの人逹の嘲りを聞いてゐて
きつと復讐(しかへし)しますよ直ぐしますとも
あの人逹には勝手に踊らせておいてふたりは歩きませう!
恋人同士の散歩は天上の踊りです





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