烏
神よ、牧場が寒い時、
さびれすがれた村々に
御告(みつげ)の鐘も鳴りやんで
見渡すかぎり花もない時、
高い空から降(お)ろして下さい
あのなつかしい烏たち。
厳(いか)しい叫びの奇妙な部隊よ、
木枯は、君等の巣(ねぐら)を襲撃し!
君等黄ばんだ河添ひに、
古い十字架立つてる路に、
溝に窪地に、
飛び散れよ、あざ嗤((わら))へ!
幾千となくフランスの野に
昨日の死者が眠れる其処に、
冬よ、ゆつくりとどまるがよい、
通行人(とほるひと)等がしむみりせんため!
君等義務(つとめ)の叫び手となれ、
おゝわが喪服の鳥たちよ!
だが、あゝ御空(みそら)の聖人たちよ、夕暮迫る檣(マスト)のやうな
((かし))の高みにゐる御身たち、
五月の頬白見逃してやれよ
あれら森の深みに繋がれ、
出ること叶はず草地に縛られ、
しよ(ママ)うこともない輩(ともがら)のため!
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