ランボオ詩集 中原中也訳



 烏


神よ、牧場が寒い時、

さびれすがれた村々に

御告(みつげ)の鐘も鳴りやんで

見渡すかぎり花もない時、

高い空から降(お)ろして下さい

あのなつかしい烏たち。

厳(いか)しい叫びの奇妙な部隊よ、

木枯は、君等の巣(ねぐら)を襲撃し!

君等黄ばんだ河添ひに、

古い十字架立つてる路に、

溝に窪地に、

飛び散れよ、あざ嗤((わら))へ!

幾千となくフランスの野に

昨日の死者が眠れる其処に、

冬よ、ゆつくりとどまるがよい、

通行人(とほるひと)等がしむみりせんため!

君等義務(つとめ)の叫び手となれ、

おゝわが喪服の鳥たちよ!

だが、あゝ御空(みそら)の聖人たちよ、夕暮迫る檣(マスト)のやうな

((かし))の高みにゐる御身たち、

五月の頬白見逃してやれよ

あれら森の深みに繋がれ、

出ること叶はず草地に縛られ、

しよ(ママ)うこともない輩(ともがら)のため!





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