ゲーテ詩集 生田春月訳




旅の歌


山から丘へと谷ぞひに
下つて行くと谷路(たにみち)
鼓翼(はゞた)くやうな足の音
唱歌のやうなひびきかた
心のままに行くときは
喜びもある、途(みち)もある
おまへの努力は愛から生れて来い!
そしておまへの生活は行為であれ!

もう束縛の紐もきれ
人にたのみもなくなつた
もうわたしには定(き)まつてゐる
どんな事件にぶツつからうと
いまは別れて行かねばならぬ
泣き悲しんでゐる寡婦のやうに
いつもあの人この人の
力にたよつて行くよりは!

ひとつ処にぢつとすくんでゐちやいけない
元気よく出かけて行くがよい!
頭も腕も生々(いき〜)と力が籠もつてゐたならば
何処へ行かうと心のままよ
日に照らされて行くときは
どんな苦労も消えてしまふ
我等が気散じするために
世界はこんなに広いのだ





移住者の歌


止まつては行き行つては止まり
さあこれからしつかりやれ
我々が立派な仕事を営むところ
それより貴い土地はない
汝に従ふのはわけもない
よく服従してこそ成功はする
さあ、しつかりした本国を見せてくれ!
指導者万歳!国体万歳!

汝は力に応じて仕事を分け
よく考へてことをする
老人には安息と名誉を与へ
若者には仕事と妻とを与へる
たのみに思ひたのまれて
小ざつぱりした小舎を建て
庭や屋敷もこしらへて
近所同志は仲よくしよう

よくきり開かれた街道(とほり)には
新規な居酒屋のあるるところ
知らぬ人にもたくさんに
田地が分配されるところで
仲よく一緒に住み附かう
急げ、急いで入つて行け
しつかりした本国へ!
指導者万歳!国体万歳!






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