ヴィクトル・ユゴー 死刑囚最後の日


       二五

 私は一つの監房に連れこまれた。そこには四方の壁があるばかりだった。もとより、窓には多くの鉄棒がはまっており、扉に多くの閂がかかっているのは、いうまでもないことである。

 私はテーブルと椅子と物を書くに必要なものとを求めた。それはみな持ってこられた。

 次に私は寝床を一つ求めた。看守はびっくりした目つきで私を見た。「何になるんだ?」というような目つきだった。

 それでも、彼らは片隅に十字寝台を一つ広げてくれた。しかしそれと同時に、私の室と彼らがいってる監房のなかに、憲兵が一人やってきて腰をすえた。私がふとんの布で首をくくりはすまいかと彼らは気づかったものらしい。




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