ヴィクトル・ユゴー 死刑囚最後の日


       三七

 市庁は不気味な建物である。

 とがった急な屋根、奇妙な小塔、大きな白い時計面、小さな円柱の並んでる各階、無数のガラス窓、人の足ですりへってる階段、左右二つの迫持(せりもち)、そういうものをつけてそこに、グレーヴの広場と同平面に控えている。陰鬱で、悲しげで、全面老い朽ちて、ひどく黒ずんで、日があたってる時でさえ黒く見える。

 死刑執行の日には、そのあらゆる戸口から憲兵が吐き出され、そのあらゆる窓から人の目が受刑人を眺める。

 そして晩には、刑執行の時間を報じたその時計面が、建物の暗い正面に光っている。




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