ヴィクトル・ユゴー 死刑囚最後の日


       四五

 群集はみな笑うだろう、手をたたくだろう、喝采(かっさい)するだろう。しかも、喜んで死刑執行を見に駆けてくるそれらの自由なそして看守などを知らない人々のうちには、その広場にいっぱいになる群立った頭のうちには、私の頭の後を追っていつかは赤い籠のなかに転げ込むように運命づけられてる頭が、一つならずあるだろう。私のためにそこへ来てるがやがて自分のためにそこへ来るようになる者が、一人ならずあるだろう。

 それらの宿命的な人々のために、グレーヴの広場のある地点に、一つの宿命的な場所が、人をひきつける一つの中心が、一つの罠(わな)がある。彼らはその周囲をまわりながらついに自らそこに陥ってゆくのだ。




この本を、全文縦書きブラウザで読むにはこちらをクリックしてください。
【明かりの本】のトップページはこちら

 
 
 
以下の「読んだボタン」を押してツイッターやFacebookを本棚がわりに使えます。
ボタンを押すと、友人にこの本をシェアできます。
↓↓↓ 

Facebook Twitter Email
facebooktwittergoogle_plusredditpinterestlinkedinmailby feather

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">