「だれを待っているのかね?」
「乗せてくれるそりを待っているんだ」と、Kはいった。
「ここにはそりはきませんよ」と、男はいった。「ここには乗りものは通りませんよ」
「だって、これは城へ通じる道じゃないか」と、Kは異論を挾んだ。
「なに、それでも」と、男はある頑固さをもっていった。「ここには乗りものは通りませんよ」
それから二人は沈黙した。だが、男は何か考えているらしかった。というのは、煙の流れ出てくる窓をまだ開け放しのままにしているのだった。
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