フランツ・カフカ 城 

 今、突然生じた静けさのなかで、Kは玄関からやってくる足音を聞いた。何とか身構えするため、Kはスタンドのうしろへ飛びこんだが、スタンドの下だけが身を隠すことのできるただ一つの場所だった。彼が酒場にいるということは禁じられているわけではなかったものの、ここに泊まろうと思ったので、今のうちに見つけられることを避けなければならなかったのだ。そこで彼は、ドアがほんとうに開いたときスタンドの下にすべりこんだ。そんなところで見つけられることもむろん危険がないわけではなかったが、ともかくそんな場合には、荒れ出した農夫たちを避けて身を隠したのだ、という言いわけが信じられないものでもなかった。入ってきたのは亭主だった。



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